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2014.01.05

変えられない事実があるから「行動」と「考え方」を変える

私のマネーセミナーの前半では、かなりの時間を使って「ライフプランニング」の重要性について話すようにしています。今日読んだ本の目次は、第1章「ライフプラン」について考える です。著者の平野厚雄さんはCFPで社会保険労務士。なるほど、そういう方が書いた本なら納得の第1章・・・ けれども、実は一般的なお金の本とはだいぶ違います。第1章の構成は、ライフプランを立てよう!・ライフプランとライフデザインの違い ・価値観は人それぞれ  障がいを受容する・事実に対して自ら選択する ・子どもを変えるのではなく、自分を変える  なのです。 

平野さんの息子さんは自閉症(発達障がい)です。この本のタイトルは『発達障がいの子ども お金のこと 親が亡くなった後のこと』。身体障害にくらべて、外から見てわかりづらい発達障がい。親は自分が死んだあと、子どもがどうやって生きていくのか心配します。外見は健常者と変わらないこの子は職場で、こんなこともできないのかとか、なんて変わった行動をするんだとか、奇異の目で見られるだろう。そんなとき、自分の障がいをうまく説明できるだろうか。いやそもそも就職が困難な子どもに、自分はどれだけのお金を残してやれるだろうか・・・
少し専門的になりますが「広汎性発達障がい」のなかに「自閉症」と「アスペルガー症候群」が定義されています。平野さんの息子さんは前者、私の息子は後者です。私の息子は、ふつうに高校を出て短大にも行きました。外から見ただけでは、何もわかりません。母親の私も、この子の抱えている「生きづらさ」をすべて理解はできていません。まだまだ私は、かっこ悪いけれども、私にとって謎だらけの息子と日々格闘中です。それでも、FPとして、若いママたちに話をするセミナー講師として、息子が障がいを抱えていること、うちが母子家庭であることなども、積極的に開示すべきだと考えていました。

ライフプランを立てましょうと、私は言います。でも、ライフプランは変わるものです、とも言います。子どもも、配偶者も、そして自分自身も、はじめの計画と寸分違わず生きていく人はいません。ライフプランのソフトでは、子どもは学校を出ると扶養からはずれます。でも、発達障がいがあって就職できなかったら、どうなりますか?親が60歳になっても70歳になっても、子どもの面倒をみなければなりません。結婚当初にたてたライフプランはもろく崩れ去ります。私も、専業主婦でパート程度の仕事をする、子どもたちは私の出た県立高校に行って、国立大に行く・・・などとのん気なことを考えていました。ところが、ところがところがの展開です!けれども今の仕事では、この「ところが」のおかげで、私は自分の経験を人に語ることができます。人の話を聞くことができます。大学生が就職のために試験を受けて合格してもファイナンシャルプランナーですが、その人にあなたは何を聞いてほしいですか?

思い通りに生きることはできません。それで、いいじゃないですか。そんなもんです。だからこそ、ライフプランを立てる。思いがけぬ出来事があれば、当初のプランを修正していけばいいのです。ここがこう変わったから、あの計画を先延ばししようとか、あきらめて向こうに進もう、とか。おおもとのプランがあるから、途方にくれずに修正ができます。誰でも、いろんなものを抱えています。お金の相談を受けていると、いつのまにか人生相談になっていることが、本当にしょっちゅうあります・・・

この本は「ライフプラン」のほかにも「教育資金」「住宅」「リスク管理」「保険」「年金」「相続」と、お金の本の王道を行く構成なのです。それなのに、読みながら何度も何度も泣いてしまった本・・・・こんなお金の本は初めてです。たくさんの印象的な言葉がありましたが(写真、付箋いっぱいつけました)中でも印象的な言葉を抜粋します。

子どもに障がいがある」ということは「変えられない事実」で、変えることができるのは自分の考え方と行動です。 (p27)

学校を選択する際にぜひ「息子(娘)のために」という考えを土台においていただきたいと考えています。そして、それは子どもが健常児であろうが、障がい児であろうが関係ないと思っています。子どもの可能性は無限大です。(p52)

私の人生理念は次のとおりです。障がいをもつ子の親が、安心して先に死ねる社会の実現に貢献します。この生きる目的が明確になった時、私の中でやるべきこと、役割が明確になりました。(p212)

平野厚雄『発達障がいの子ども お金のこと 親が亡くなった後のこと』(ぱぷらぼ 1680円)

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